世界各国は、経済的、政治的、社会的理由から移民政策を見直し続けています。以下では、特に注目すべき数か国の移民政策の最新動向について解説します。
### アメリカ合衆国
アメリカは長年にわたり移民国家として知られていますが、最近の政策は厳格化の方向にあります。2021年に発表された移民改革では、技術者や専門職のワークビザ(H-1Bビザ)の基準が見直されました。これにより、より高い技能を持つ労働者の受け入れが進む一方で、ランダムな抽選制度は廃止されました。また、DACA(幼少期にアメリカに到着した不法移民を保護するプログラム)の存続が政治的な議論の対象となっています。
### カナダ
カナダは積極的な移民政策で知られ、2021年には年間40万人の移民を目標に掲げています。カナダ政府は特に経済的貢献が見込まれる移民の受け入れに注力。エクスプレス・エントリーシステムは、技能や職業経験に応じて移民申請者を優遇し、迅速な処理を促進しています。また、地方移民パイロットプログラムでは、特定地域での雇用を前提とした移民を支援しています。
### ヨーロッパ連合(EU)
EUでは、一部の国々が受け入れを厳格化していますが、EU全体としては統一した移民政策を模索中です。2020年の新しい移民パクトでは、不法移民の流入を抑えつつ、合法的な経路を通じた移民の機会を増やすことを目標に掲げています。特に、労働市場の需要に応じた青カード制度の改正が進んでおり、高スキル移民のEU内での移動を容易にする計画です。
### 日本
日本は人口減少と高齢化が進む中で、外国人労働者の受け入れ拡大が進んでいます。技能実習制度の拡充や特定技能ビザの導入により、建設、農業、介護などの分野で外国人労働者の新たな道が開かれました。また、高度プロフェッショナル制度を通じて、高度人材の積極的な招聘が進んでいます。
### オーストラリア
オーストラリア政府は、特にスキルが必要な分野の移民に重点を置いています。ポイントベースの移民制度を用いて、専門技能や英語能力を評価し、需要の高い職業の移民を優遇しています。COVID-19パンデミック以降、国境の閉鎖が進んでいましたが、2021年からは徐々に国際的な労働力の動きが見られるようになっています。
### 総括
以上、世界の主要な国々では、各国の経済状況や社会的需要に応じて、移民政策が進化しています。技術進化や国際的な労働需要の変化に応じて、これらの政策は今後も更新され続けることでしょう。各国が直面する挑戦と機会を踏まえ、効果的で公平な移民政策の策定が求められています。
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